現在のアトリエ 外観

ドキュメンタリー映画「あるアトリエの100年」

演出 山崎欽毅/2016 年/ 110 分

東京 恵比寿にある古いアトリエと
残されていた16ミリフィルムが紡ぎ出す
芸術家たちの明治から現在へとつゞく物語

アトリエを建てた洋画家 岡田三郎助、その妻、小説家・劇作家 岡田八千代
アトリエを引き継いだ洋画家 辻永、そして、アトリエに集った人々
時代を彩った多くの作品がここから生まれた——

2016年 第90回キネマ旬報ベスト・テン 文化映画 第2位

予告編


ストーリー

アトリエの主人たち(左から岡田八千代、岡田三郎助、辻永)

100年前のアトリエから発見された16ミリフィルム
そこには日本近代美術史の1頁が刻まれていた—

1908年、東京恵比寿に1軒のアトリエが建てられた。

繊細で情感豊かな美人画で知られ、黒田清輝、藤島武二らとともに、日本の洋画草創期を牽引した洋画家・岡田三郎助がアトリエの主人である。

三郎助は、アトリエの隣に女子洋画研究所を創設し、そこから有馬さとえ、森田元子、三岸節子、いわさきちひろ等を輩出した。他にも東京美術学校(現東京藝術大学)、女子美術学校(現女子美術大学)、本郷洋画研究所で指導するなど教育に力を注いだ。若い頃書生としてアトリエに住み込んだ古沢岩美、日本のガラス工芸を拓いた岩田藤七など、彼の教えを受けた芸術家たちが、その後それぞれの分野で活躍している。

三郎助の妻、八千代は、小説、劇評、劇作などの分野で、日本の女性として先駆的な存在である。大正期にはこども劇団「芽生座」を設立、第二次世界大戦後には女流劇作家育成のため「アカンサスの会」を結成するなど、演劇の発展にも尽くした。

そして、戦後このアトリエを引き継ぐのが、三郎助を支えた洋画家・辻永である。独特の筆致で描く風景画や細密な植物画を多数残す一方で、日展や光風会などで日本の洋画界をまとめる役割を果たした。 残された作品や資料からアトリエの歴史を紐解いてゆくと、明治から大正、昭和と移り変わる時代の中、西洋の美術を日本の風土に定着させた彼らの姿が浮かび上がってくる。今も100年前の面影を残すアトリエと、当時の様子を生き生きと甦らせる映像や写真とともに、アトリエに集った芸術家たちの足跡を描く。

なお、長い時を経て住む人もなくなっていたアトリエは、三郎助の出身地である佐賀県に移築されることが、2016年秋に決まった。


登場人物

アトリエの主人たち

岡田三郎助 岡田八千代 辻永

岡田三郎助 1869-1939

岡田八千代 1883-1962

辻永 1884-1974

佐賀県出身。明治~昭和にかけての洋画家。東京美術学校(現・東京藝術大学)教授。第1回文化勲章受章。創設間もない女子美術学校の嘱託教授を引き受け、自宅アトリエの隣に女子洋画研究所をつくる。

小説家、劇作家。岡田三郎助の妻。小山内薫の妹。十代でデビュー。大正時代、こどもの劇団「芽生座」結成。長谷川時雨と雑誌「女人芸術」創刊。戦後、女流劇作家の育成のためアカンサスの会結成。

洋画家。「山羊の画家」としてデビュー。戦後アトリエを引き継いで住む。日本全国を旅して、日本の風景を独特の筆致で描く。草花を写生し、植物画として2万点以上残す。戦後の洋画界をまとめるために尽力する。

アトリエに関わった人たち

有馬さとえ
(1893-1978)

鹿児島市出身。明治44年、県立第一高等女学校を中退し、三郎助に師事。女子洋画研究所及び本郷洋画研究所で学ぶ。大正15年の第7回帝展で、女性の洋画家として初めて特選を受賞。戦後は、教え子の鹿島卯女からアトリエを贈られ、後半生をそこで過ごす。

森田元子
(1903-1969)

大阪ウヰルミナ女学校卒業後の大正11年、「主婦之友」の表紙画公募で一等入選し、上京、三郎助に入門する。大正13年、女子美術学校西洋画科を卒業し、渡仏。帰国後は官展や光風会展で入選を重ねる。戦後は女子美術専門学校教授に就任するとともに、光風会理事や日展評議員を務める。

三岸節子
(1905-1999)

愛知県出身。大正10年、淑徳高等女学校を卒業後、三郎助に入門。大正13年、女子美術学校西洋画科を卒業後、三岸好太郎と結婚。好太郎の急逝後も3人の子どもを育てながら制作を続ける。昭和43年、家族とともに渡欧、以後平成元年に帰国するまで、ヨーロッパ各地で絵を描いた。平成6年、女性洋画家初の文化功労者に選ばれる。

いわさき ちひろ
(1918-1974)

子どもを生涯のテーマとして描き続けた画家であり、絵本作家。昭和8年、第六高女在学中の13才で三郎助に入門。17才で朱葉会展に入選する。代表作は「にんぎょひめ」「おふろでちゃぷちゃぷ」「あめのひのおるすばん」「戦火のなかの子どもたち」など。

古沢岩美
(1912-2000)

佐賀県出身。昭和3年、上京し、三郎助宅の書生となり、本郷洋画研究所で学ぶ。その後、「長崎アトリエ村」での若手画家や詩人との交流を通じ、前衛美術を志向。戦後は、日本アヴァンギャルド美術家クラブの結成に参加するとともに、戦時体験や戦後社会の混乱を告発する作品を数多く発表する。

岩田藤七
(1893-1980)

明治44年、白馬会洋画研究所で三郎助に師事。東京美術学校金工科、西洋画科を卒業後、今村繁三に吹きガラスを学び、ガラス工芸に転進。岩田硝子製作所を設立する一方、帝展、日展に作品を出品した。日本のガラス工芸を芸術の域まで高め、広く海外でも作品展を開催した。

小山内薫
(1881-1928)

岡田八千代の兄。明治から昭和のはじめにかけて活躍した演出家、劇作家。明治42年に市川左團次とともに自由劇場を旗揚げ。大正13年には、土方与志とともに築地小劇場を創設するなど、西欧の近代演劇を導入し、日本の演劇の革新に貢献した。

相関図

登場人物相関図


スタッフ

企画:辻澄子 藤原智子/脚本:千原卓司 山崎欽毅/演出:山崎欽毅 千原礼子/撮影:松田重箕/撮影協力:人見健一 楡金厚行/語り:小原雅一/声の出演:高田べん 西田絋二/畠山美和子 安田未央/音楽:松島美毅子/効果:渡邊基/整音:引間保二(アクエリアム)/テレシネ:東京光音/制作:千原卓司


上映情報

2017年16日(金)~20日(火) 神戸映画資料館(神戸)

映画館:神戸映画資料館(神戸市長田区腕塚町5丁目5番1 アスタくにづか1番館北棟2F 201)
神戸映画資料館サイト
上映時間:16・19・20日… 11:00~/13:30~、17・18日… 11:00~/16:40~
当日料金:一般1500円/大学・専門学校生1200円/中高生1000円/シニア:1100円/会員1000円/*初日サービスDAY 一律1100円

2017年5月1日(月) 第103回光風会展最終日 特別上映(東京)

会場:国立新美術館 3F講堂(東京都港区六本木7-22-2)
光風会サイト
上映時間:13:00~(1回限定)

2017年4月15日(土)~28日(金) シエマ(佐賀)

※上映期間が長くなりました。(2017.3.11)

映画館:シアターシエマ(佐賀県佐賀市松原2-14-16 セントラルプラザ3F)
シアターシエマサイト
上映時間:10:00~
特別鑑賞券:1,000円
※劇場窓口にてお買い求めください。
当日料金:モーニングショー(平日のみ)1,200円/一般1,700円/大・高生1,500円/小・中学生1,000円/幼児(3-6歳)900円/シニア(60歳以上)1,100円
※その他割引あり。詳細はシアターシエマにお問い合わせください。
トークイベント:※それぞれ10:00の回終了後の開催です
4/16(日)12:00~13:00「岡田アトリエの1年」竹下正博氏(佐賀県立美術館)
4/22(土)12:00~13:00「岡田三郎助と妻八千代について」松本誠一氏(佐賀県立美術館 副館長)

2017年4月1日(土)~14日(金) 淀川文化創造館 シアターセブン(大阪)

映画館:淀川文化創造館 シアターセブン(大阪市淀川区 十三本町1-7-27 サンポードシティ5階)
シアターセブンサイト
上映時間:4/1(土)~ 7(金) 11:50~ / 4/8(土)~ 14(金) 11:00~
特別鑑賞券:1,000円
※劇場窓口にてお買い求めください。
当日料金:一般1,500 円/専門・大学生1,200 円/シニア1,100 円/中学・高校生1,000円/小学生以下700円
シアターセブン会員1,000円
★その他 劇場規定の割引・サービスデー適用あり
舞台挨拶: 4/1(土)山崎欽毅(本作演出)、4/2(日)千原卓司(本作制作)

2017年3月25日(土)~4月7日(金) シネマスコーレ(名古屋)

映画館:シネマスコーレ(愛知県名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)
シネマスコーレサイト
上映時間:12:25-14:20(1日1回)
特別鑑賞券:1,300円
※劇場窓口にてお買い求めください。
当日料金:一般1,500円/学生1,300円/会員1,200円
トークイベント: 4/1(土)「岡田三郎助と女性画家」杉山章子氏(一宮市三岸節子記念美術館 学芸員)

2017年3月4日(土)~10日(金) 東京都写真美術館(東京)

※休館日:3月6日(月)
映画館:東京都写真美術館ホール(東京都目黒区三田1-13-3/恵比寿ガーデンプレイス内)
東京都写真美術館サイト
上映時間:13:00 / 15:10(1日2回) 
特別鑑賞券:1,300円
※劇場窓口・チケットぴあ他にてお買い求めください。→チケットぴあ販売ページ
当日料金:一般1,500 円/学生1,200 円/中学生・シニア1,000円
※次の方は当日料金が割引になります。○東京都写真美術館で開催の写真展・映画の半券を持参の方(半券1枚につき割引は1回のみ)○東京都写真美術館パスポートをご提示の方○三越カード、伊勢丹カード、アトレビューSuicaカード持参の方